矢野顕子さんのツイッターで、仕事がクビになってしまった友人とコンサートへ行ったら、その後の音楽談議で顔がパアッとしていた。音楽はおくりものだ。というツイートを見て、ああそういえば、もう長いことコンサートなんて行っていないなと気づきました。
クラシックコンサートが特に好きで、コロナ前は足しげくホールへ行ったものです。
コンサート好きが周囲に認知され、余ったチケットを譲っていただけたことも幾度もありました。ありがたい話ですね。
ピアノ曲は自分が長年習っていたこともありそれなりに知ってはいますが、オーケストラはそれほどでもありません。管弦楽になるとますます未知。
なので、チケットが手に入ったら演目を事前にYOUTUBEでチェックしていました。
これ、聞くと聞かないとでは愉しみ方に大きく差が出ます。
指揮者やオケによって解釈や個性に違いがあるので、そこを聞き比べるのも興味深い。
でも、そんな専門的なことをしなくてもただ純粋に音楽を愉しむのもアリです。
楽器の済んだ音色を聞くと心が洗われていくのがわかります。胸がスゥーっとする感じ。
開演前の、無駄な雑音を出さないあの緊張感。観客も思わず背筋をピンと伸ばしてしまう、あの張り詰めた空気。
アーティストのライブとはまた違う厳かな雰囲気がありますよね。
懐かしいなあ、また聞きに行きたいな。
かなり前になりますが、モスクワフィルとフジ子・ヘミングさんの共演コンサートを聞きに行ったことがあります。
もう、素晴らしいの一言。音色のレベルが違う。
フジ子さんは本番でも堂々とミスタッチをするのですが、「ロボットじゃあるまいし、間違うことだってあるわよ。」と全く意に介さないそうです。それもそのはず、ミスタッチなんか無かったことにしてしまえるほど他の演奏が素晴らしいんです。
音の粒が全て生きているとでも言いましょうか、彼女の演奏は生命力にあふれているんですよね。生き様が音に出ているのかもしれません。
イバラのみちをほふく前進で進むかのような逞しいタッチでありながら、雑味のない澄んだ音色を奏でます。これが天才かと圧倒されます。
その後はモスクワフィルによる演奏。アンコールが白鳥の湖だったんですが、これが凄かった。
なんとその場の観客ほぼ全員がスタンディングオベーションで拍手喝采。
それまで何度も見てきたコンサートではそんなこと一度もなかったのに。
誰も何も言わずとも、立たずにはいられない演奏だったのです。
音楽の力の凄さを間近で感じた貴重な体験でした。
さて、こう書くと音楽の力はプロにしか備わっていないように思えてしまうかもしれません。
実は、違うんです。
最近、シニアのピアノ教室が人気なようですが、高齢になってからピアノを始める生徒さんのひたむきさには胸が打たれます。
わたしも以前ピアノ講師をしていたことがあるのですが、60歳を超えてからのレッスンはなかなか大変なものがあります。
耳も指もリズム感もすっかり固まってしまい、ピアノ用に身体がほぐれるまでかなりの時間を要します。基礎トレの最中は正直楽しくはありません。
それでも、どうしても弾きたい曲があるからと毎日コツコツ練習して下さるんです。
先週までできなかった指くぐりが出来るようになったり、どうしても力の入りにくい左手の薬指で音が出せるようになったりすると、本人もわたしもすごい達成感を感じます。
発表会でシニアの生徒さんが参加されると、もう涙なしには見れません。
めっちゃくちゃ緊張するんです。たとえ観客が50人でもガチガチ。
着なれないドレス、パンプスで踏むペダル、自分を照らすスポットライト。これで上がらないはずがありません。
生徒さんの最後まで弾ききる姿と集中力たるや、鬼気迫るものがありジーンときます。
経験者には決して出せない音です。人はそこに感動を覚えます。
その昔、ウッチャンナンチャンのバラエティで、勝俣さんとウッちゃんがピアノに挑戦したことがありました。なんと、ユーミンのコンサートで「春よ、来い」を演奏し、それに合わせてユーミンが歌うという大プロジェクト。
今も探せばYOUTUBEにあると思います。あれだけいつもTVに出ているのに、何度も何度も深呼吸して気持ちを落ち着けている姿は、見ているこちらもドキドキです。
あと、これはどんなに探しても出てこないんですが、キムタクが、自身の出演したドラマ「ロングバケーション」の挿入歌をスマスマで演奏したことがありました。
何でも器用にこなすイメージのある木村拓哉さんですが、ものっすごい緊張してるんです。珍しく指が震えてるっていう。
ギターを弾くときは自分の魅せ方も計算しているのが分かりますが、ピアノのときはカメラを意識する余裕が全くないようでした。終わった後に大きく息を吐いたのが印象的でしたね。あの映像、見たいんだけどなー。
適度な緊張感は生活のスパイスになります。
刺激を得るため、近いうちにコンサートに行ってこようと思います。
感謝日記
贈り物を喜んでもらえた。
新しい出会いがあった。
友人と久々の再会。