30日間チャレンジブログ

40代主婦が綴る小話。

手放す時

愛着のあるものを手放さなくてはなりません。

それほど物は多くないぶん、ひとつひとつを大切に使っているつもり。

だから余計、手放すときは寂しく感じます。

納得のいく理由ならまだしも、不本意な形でのお別れとなるためまだ全然納得できません。

 

心を落ち着けたくて、モヤモヤしながら少しだけ瞑想。

すると、数年前に起きた友人のエピソードを思い出しました。

古くて小さな家を借りたDIY好きの友人家族。少しずつ自分好みにしようと、何と数ヶ月かけてカウンターキッチンを作りました。

言われるまで手作りだと分からないくらい精巧な作りで本当にびっくりしたのを覚えています。

映画のかもめ食堂を思わせる、少し深いミントグリーンのペンキが塗られた引き出しやアンティークの取手。主婦の憧れが詰まった素敵なカウンターで奥さんもお気に入りでした。

 

そのカウンターを基軸にリビングも模様替え。壁紙を変えたりカウンターと色を揃えてベンチを作ったり、訪れる度にオシャレに成長する友人の家。わたしまで遊びに行くのが楽しみになるほどでした。

が、そんなある日。まさかのタイミングでご主人に辞令が降り引っ越しを余儀なくされます。

しかも会社の借り上げ社宅に入るため、DIY家具のほとんどを手放す羽目に。

友人はすごく複雑な表情をしていました。無理もありません。

昇進に繋がるその辞令は旦那さんが目指していたものだし喜ばしいけれど、なぜこのタイミングで…といった様子でした。

 

数ヶ月後。「家が落ち着いたからの遊びに来てほしい」と連絡がありさっそくお宅訪問。

これがもう、予想外に立派なマンションで腰が抜けるかと思いました。

新築でセキュリティも万全、セレブが多く住む高級マンションの周囲にはオシャレなカフェがたくさん。お部屋の壁は真っ白で、キッチンも最新のIH対応。

そして何と、備え付けのカウンターがありました。

旦那さんの手作りとはまた一味違う、バーカウンターのようなスタイリッシュなデザイン。

「手放したら全部入ってきたわ。」

友人は少し悟りを開いたような笑顔を浮かべていました。

 

わたしも、そうなるかな。手放してみようかな。

友人のあの時の表情を思い出します。きっとわたしも似た顔をしているかも。

 

まだスパッと整理がついたわけじゃないけど、少しだけ気持ちが落ち着きました。

友人の住む方向に向かって、ありがとうと呟きました。

 

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