もう10年以上前の話になりますが、音楽仲間と遊びでバンドを組んでいたことがあります。
どうしてそんなことになったのか全然記憶にないんですけど、気が付いたらキーボード担当になっていました。
たしか、お友達のピアノの先生つながりだったような…。
ベースとドラムは元プロの方々でした。
ギター君はわたしよりちょっと若くて、朝から晩までギターを弾きまくる美青年。
平均年齢がわたしよりやや上だったせいで、選曲も80年代が多かったです。
いちばん演奏したのはToto。Africaはもちろん、ロザンナやHold the Line,99,Georgy Porgy,Child's Anthemなどなど。
わたしはそれまでTotoはAfricaくらいしか知らなかったのですが、弾いてみると他の曲もすごいカッコいい。
個人的にはChild's Anthemのイントロが弾きごたえあって好きでした。
これでもか!というほど続く3連符の嵐。練習を怠ると手首がつります。粒が乱れるとその後の演奏も台無しになるし責任重大。
コツは三連符の最初の音を少しだけ強めにし、肘を使って全体のフレーズを意識するとまとまりが出て仕上がりがキレイ。
「どんな曲かな?」と思った方はこちらからどうぞ↓
SantanaのEuropaもコピーしたことありますが、ブルース系は難しい!
そもそもわたしはバンド経験なんかなく、クラシックとJ-POPくらいしか弾けないペーペーなわけで、ロックはおろかブルースの知識なんて皆無。
コードだって全部読めるわけじゃないし、コード進行は基礎の基礎しかわかりません。
組んだ当初はみんなの足を引っ張ってばかりでした。
キーボード担当だったけど、アンプとのつなぎ方もわからなかったし。
途方に暮れていたら、ドラムさんが「君はちゃんとリズムを取れているから、周りにあまり振り回されず自信を持って弾きなさい。走り気味だと思ったら僕がうまく調整するから、ドラムが大きいなと感じたらそこで速度を調整しなさい。」と優しく教えてくれました。
美青年ギタリストはクラプトンをこよなく愛しており、彼の要望でいくつか演奏したこともありました。Tears in Heavenとかwonderful tonight を弾いた記憶があります。
身近な友人を集めてカフェで貸し切りライブをしたこともあったんですが、ギタリスト君が「機材運びを手伝ってくれるって言うから連れてきたよ」という女の子たちがどうみてもギタリスト目当てのファンで、キラッキラにおめかししていたのが懐かしい思い出(笑)。
「いや、あれはお手伝いじゃなくて単にキミ目当てだよ。」と教えてあげたけど「??そうなの??」と本気でキョトンとしてました。
わたしはバンド仲間なんで本番では当然アイコンタクトとかするわけですが、それがファンの反感を買ったようでライブ後にガン無視。いや、どうしろっちゅーねん。
激ニブ天然ギタリストはそんなことお構いなしで、とにかくギターが弾けて大満足。ファンの子たちの前で「笠井さんのアレンジいいね!弾きやすかったよ!」なんて言うもんだからヒヤヒヤです。やめてくれ、生きて帰れる気がしない。
素人のわたしの目から見てもおままごとみたいなバンド遊びでしたが、元プロのベースとドラムの方々はとても楽しそうでした。
「(わたしの)レベルが低すぎてつまらないんじゃないですか?」と聞くと「全然!楽しいよ。」って。
「プロはさ、純粋にバンドだけやってるわけにはいかなかったから。」
どういうことですか?
「ライブができるバーで演奏してると業界の関係者なんかも覗きにくるわけよ。
演奏後に食事に誘われたら、仕事の話も絡むから断るわけにはいかないじゃない。
で、まあついて行くんだけど、食事が終わって一服してたら突然、”絵を見に行きませんか”って言われるの。」
なんで突然絵の話になるのかと彼らが戸惑っているうちに女性がやってきて、彼らを奥の部屋へ案内したそうです。
そこではヤクの売買が行われており、やっと何が起きているのか理解したふたりは慌てて店を後にしたそうです。
「”絵を見に行きませんか”は彼らの暗号とか合図みたいなもんだったんだよ。
俺ら駆け出しでそんな専門用語知らなかったからさ、あれには驚いた。
今はそういう変なしがらみを気にせず好きな音楽ができるからね、楽しいよ。」
いやー、音楽とヤクは繋がってるだろうとは思っていたけど、まさかこんな身近だとは思わず聞いた当時はびっくりしました。
その後それぞれの事情の変化でバンドは自然消滅してしまったけれど、今でも時々当時演奏した曲を聞いて懐かしさに浸っています。
バンド経験がなければTotoのレパートリーなんて広がらなかっただろうし、もちろんブルースにも縁がなかっただろうなと思います。
またいつか、機会があればセッションしたいなあ。
感謝日記
朝スッキリと目覚めた