インターネットの世界に足を踏み入れてから早20年以上が経過してしまいました。
昔のネットの世界はサブカル臭が強くて、毒親にやられっぱなしのわたしにはそれがかえって居心地良かったりしたんですよね。
なんていうのかな、ヴィレッジバンガードみたいな空気が漂ってませんでした?
わたしの地元にあったヴィレバンの店舗は一見すると倉庫のようで、そこに本が売ってるなんて一般の人は知らなかったし知名度もぜんぜん低かった記憶があります。
まだインターネットのつなぎ放題プランも浸透しておらず、見れば見るほど課金される時代でしたので、サブカルを補給したいときはネットよりもヴィレバンに行くのが常でした。
ふつうの本屋さんには置いていないような(というか、置かせてもらえないような)書籍が所狭しと並べられていて、本当にワクワクしたのを今でも覚えています。
そこで出会ったのが「完全自〇マニュアル」。念のため伏字。
こんな面白い本がこの世にあるのかと衝撃を受けました。立ち読みで一気読みした気がする。
両親共に猛毒だったため物心ついた時から生きるのがダルく、「明日目が覚めたらお墓の中にいますように」と願いながら眠りにつくのが常だったわたしにとって、まさにバイブルのような書籍だったわけです。
きっと分かってくれる人はたくさんいるんじゃないかなぁ。
それまでは、人生を終わらせる作業はすごく大変だと思い込んでいたので、こんなにお手軽にコロッといける方法があるなんてまさに目からウロコ。
難易度とかお手軽度が「★★★☆☆」と、食べログみたいなカジュアルさで表現されていたところもすごく好きでした。
「こりゃ、その気になればあっという間だな。だったら無理に痛い思いをしたり高い道具を買う必要はないかも。ていうか焦る必要ないかも」という思考に至り、かなり気持ちが軽くなったのを覚えています。
後にこの書籍は発禁処分になったようですが、そもそもの目的はわたしのように感じて踏みとどまる人を増やすためだった、というのをどこかで聞いたことがあります。
ただ、本の感想なんて人それぞれですから、やっぱりマニュアルに従っちゃう人もどうしてもいるわけで、実践しちゃった人の足元にこれが転がっていたりもしていたようで、この本はこの世から消えてしまったようです。
たしかそれがきっかけで、気持ちがちょっと沈んだときはヴィレバンに駆け込むのが徐々に習慣になりました。
内田春菊とか楠本まき、岡崎京子を知ったのも確かここだったよなぁ…。
母親が潔癖というか完璧主義みたいな人間で、色気を売りにする人間を異常なまでに毛嫌いし見下すんですが、彼女たちの作品ではそういうヒロインがゴロゴロ出てくるじゃないですか。しかもみんな生き生きしてる。壮絶な体験しても悲惨な最期を遂げても精一杯生き尽くしてる。
それが美しいかと言われれば難しいけれど、でも生きる底力は伝わってくる。毒母よりもよっぽど楽しそうに生きてるじゃない。
自分がお水の道に進むことはたぶんないだろうけど、この生き様はいつか役に立つ。
そんな風に感じたのを覚えています。
そしてその通り、わたしのいた世界の中では決してお手本にならないような生き方を貫き、わたしと毒母の溝はどんどん深まっていったわけですが、でも全く後悔していません。
そんな足しげく通っていたヴィレバンですが、ネットが普及するにつれだんだん足が遠のいていくようになりました。
似たような情報がお茶の間で24時間いつでも手に入るとなれば、どうしてもそちらを選んでしまいますよね。
気付けば倉庫のような店舗は閉鎖してしまい、一般の人への認知度も高まり、数年後にはもっと気軽に入れるショッピングモール内に移動していました。
「いつの間にこんなところに」と、驚きと共に店内に足を踏み入れると、そりゃあもう健全な世界で(笑)。
申し訳程度に「コロス」と書かれたウサちゃんのパーカーなんかが売られてましたけど、見たところで「それが何なのさ」という程度で。
改めて、時代の流れというものをそのとき肌で感じました。
わたしは確実に年を取っているんだなぁ、みたいな。
でも、それが今の時代には合ってるんだと思います。
それで救われる人もきっといるんだと思います。
ただちょっと、自分の世代には少し寂しい気もしますけど。
今回は目標文字数に到達できませんでした。残念。
では最後に感謝日記
・懐かしい友人に会えた
・おいしいごはんを食べられた
・気遣いのメールをしたら「ありがとう」が返ってきた