タイに少し滞在していた頃の話。
うちの宗教のタイ事務所へ遊びに行き、そのまま晩の礼拝まで過ごすことになりました。
タイ語の説法を聞いてもチンプンカンプンなんだけど…と思いつつ、でもタイの信者さんたちに会える好奇心が勝ってしまいホールで皆が集まるのを待ちます。
中には英語を話せる学生さんもおり、たどたどしくも和やかなコミュニケーションを楽しみました。
そして礼拝の時間。代表幹部が説法を説いている間、言葉の分からないわたしは会場をキョロキョロと観察。
そこでひとりの男の子に目が留まりました。
年は15、6才といったところでしょうか。わりと体格のがっしりした子ですが、その大きな背中を丸めて顔は下を向いたまま。目を上げることがありません。
どうしたのかなと思ったら、せっせと折り紙を折っていました。
しかも作品が普通じゃない。エヴァンゲリオンを思わせる手足の長いロボットのようなものを折っています。説明書も見ずに、どうやら創作のようです。
あんなの折り紙で作れるの…?!
ていうか説法の時にやらなくてもよくない…??
後から聞いたのですが、彼は軽い自閉症なのだそうです。シンプルなコミュニケーションは取れますが会話や話の内容が複雑になると緊張が高まるそうで、自分を落ち着かせるために折り紙を折るのだと英語を話せる子が教えてくれました。
自分で自分を落ち着かせる方法を知っているのもすごいし、それを見守る大人たちもすごい。
素直に感動しました。ここに至るまで乗り越えなければならない障害もあったと思います。彼の母親は自閉症に気づくまで時間がかかったそうで、折り紙をやめさせようとしたこともあったのだとか。
彼は礼拝堂の雰囲気が好きなのでこの場所には来たいのですが、他の人よりも集中できる時間が短いため折り紙でメンタルをコントロールしています。他の信者とは違うかもしれないけれど、彼なりに神さまを信じているのが伝わって心が温かくなりました。
宗教に限らず、学校でもこのようなメソッドを取り入れている国があると聞きます。授業を他の子達と同じペースで学べない子達は、途中で席を立ったり独り言を発したりして心の緊張を表に出すことがあるそうです。
先生方はひとりひとりの対処法を事前に親から聞いており、少しだけ別室に連れて行ったり教室の後ろを自由に歩かせたりするうちに子どもたちは落ち着き席へ戻るのだとか。
型にはめず、個々に合った方法で対処するシステムはぜひ日本にも広まってほしいものです。
型にハマらないとダメなんてことはないはず。
残念ながら、同じ宗教でも日本はまだまだ見識が浅いため、もしあの男の子が礼拝で折り紙を折っていたら白い目で見られると思います。
型にハマった見掛け倒しの信仰を支持する信者があまりに多いためです。
でも、それって本物の信仰なのかな。
わたしは本物でありたい。
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