30日間チャレンジブログ

40代主婦が綴る小話。

稼ぎ方

最近「金を要求する宗教は間違ってる」みたいなツイートをよく見るようになりました。

そうは言っても、結局要求されたら出してしまうものなんじゃないかと思います。

うちの祖母は檀家でしたので、お寺から寄付額が印字された振込用紙が届いていました。つまり金を要求されていたわけですが、ブツブツ文句を言いながらも払ってましたよ。断ることもできましたが、世間体を気にして払い続けていたようです。

 

世の中、お金がないと何もできませんから。それが宗教組織の稼ぎ方なのかもしれません。

 

東南アジアの人々の稼ぎ方は商魂たくましいものがありました。

ある国では発車前の電車に四つん這いの男性が乗り込んできて、乗客に寄付を懇願していました。どうやらヒザから下が麻痺しており歩けないようです。

みんな気の毒に思い、少額の寄付を彼の持つ空き缶に入れます。

「ありがとうございます、ありがとうございます。」と、涙を浮かべながら空き缶を大事そうに抱える男性。

そこへ「もうすぐ電車が発車します。」というアナウンスが流れた瞬間、男性はスッと立ち上がり、スタスタと電車を降りて行きました。

もうね、呆気にとられる人、苦笑いをする人、爆笑する人で車内はカオス。

おそらく色々な路線で繰り返しているのでしょう。事情を知っている人は寄付をしませんが、だからと言って「コイツ実は歩けるんだぞ」という暴露もしない。

そうやって稼ぐ人がいるのが当たり前の世界なんです。

 

電車に限った話ではなく、夜市でもよく見かけました。

日本のお祭りの屋台みたいに、毎週決まった曜日に夜市が開かれて出店がたくさん出る地域があります。海賊版のDVDから寝具、果物や野菜や生魚など何でも売っているのでいつも大賑わい。

その雑踏の仲、ひとりの老人がござを敷いて横たわっています。

ボロボロの服を着て眉間にしわを寄せながら、行き交う人に恵みを求めます。

彼の横に置かれた小さなバケツに小銭が溜まっていき、ある程度の量になったらパッと消える。

このおじいさん、毎週これやってました。

なので、地域の人も知ってるんですよね。ジイさんは寝たきり老人じゃないし、なんなら家族と一緒に暮らしてたりもするって。「あの人の家はあそこだよ。」って、家まで特定されてました。

おじいさんが気の毒で寄付をしているというよりも、みんなの通行の妨げになるから小銭を渡してさっさと引き上げてもらおう、という感覚だったんだと思います。

 

ホーカーと呼ばれる、フードコートみたいな場所にも物乞いの方がよく来てました。

10歳くらいの小さい女の子が、お菓子の入った小さな包みをカゴに入れて各テーブルを回ります。

わたしたちが現地の友人たちとご飯を食べていると、そこにも「お菓子を買ってちょうだいと、女の子がやってきました。

その場のメンバーで包みを2,3個買ったあと、友人が「キミ、お母さんは?」と聞きます。

「いません。わたしひとりで来ました。」と女の子は答えます。

「そうかい。じゃあ、あそこで立って見ている女の人は誰だい?」と彼が指さす方向を見ると、店の陰からこちらを見ている女の子そっくりの女性。

するとその女の子、「チッ」と舌打ちして走り去って行きました。

その後も女の子は足しげくその店に通ってましたけど、顔を覚えていたらしくわたしのテーブルには寄ってきませんでしたね(笑)。

 

逞しいというか図太いというか、とにかくそうやってお金を稼ぐ人が本当に多いです。

そうでもしないと生きていけないし、国も面倒見てくれません。

富裕層が援助することはよくあって、でも個人的にBeggarに近づくのは何かと危険が伴うため教会などを通すのが常でした。

資産家がある教会のスポンサーになって多額の寄付をし、教会がそのお金を使ってチャリティーの食事会を開くといった具合です。

そのスポンサー探しがなかなか大変で、友人の教会でもみんなで手分けしてあちこちに電話をかけていました。

 

また、地元で有名な食堂の経営者はとあるお寺のスポンサーだったようですが、自身のギャンブル癖が元で破産し借金取りに追われるハメになりました。でもハタから見れば「寄付を吸い取られて破産した」と捉えられたかもしれませんね。

 

なんかそういうのを見ると、宗教にお金をつぎ込む事情というのは色々あって、
必ずしもどハマりしているから寄付をするとは言い切れないんだなぁと感じたのを覚えています。

 

もちろん、救いを求めてお金をつぎ込む人もいます。
自分の短所と向き合って改善するよりも、お金を出して自己満足に浸る方がラクなので。

そういう人は、組織そのものじゃなく幹部へ直接お金を渡したり高い食事に誘ったりします。お礼を言われるといい人になった気がしますし、それで救われた気になるんですよね。

 

お金は中立ですが、稼ぎ方は人それぞれ。使い方も人それぞれ。

誰かにとっての汚い稼ぎ方が、別の誰かにはキレイな稼ぎ方だったり。

自分の見聞きできる範囲なんてたかが知れてますから、数秒のニュース報道で全てをジャッジしないほうがいいんじゃないかなーと、昨今の出来事をみてそう感じます。

 

感謝日記
友人からお茶のお誘いがきた。
遠方の友人に贈り物ができた。
温泉タダ券をプレゼントされた。