30日間チャレンジブログ

40代主婦が綴る小話。

おばんざいにホロリ

心療内科の帰り。

診察できてホッとしたのとちょうどお昼時になったのが重なり、近場で食べようとウロウロしていたところお手頃な定食屋が目に留まりました。

扉や窓にメニューやらお店のシステムやら張り紙が何枚も貼られています。どうすればご飯にありつけるのかと1枚ずつ丁寧に眺めていたら、中から「よかったらどうぞ。ご案内しますよ。」と、おかみさんがにこやかに声をかけてくれました。

 

「初めて?」「はい」「じゃあ今から説明するからね。」

ちょっと風変わりなその店は、まず先に代金を払ってから案内された座席に荷物を置きます。それから「こっちこっち」と言われるがままに奥へ進むと、お皿や小鉢に並んだおかずがズラリ。

「ここでメインを選んでね。これは豚肉の生姜焼き、こっちは鯖の味噌煮。そのあと、小鉢を3品選ぶの。」

どれもこれも美味しそうなおばんざい。きんぴらゴボウやスパゲッティサラダ、大根の煮物などなど。

どれにしようか迷っていると、調理場のおじさんが顔を出し「どこから来たの?」と気さくに話しかけてくれました。

「◯◯町からです。病院の帰りで。」

「そうかい。この辺は駅が近いから通うのに便利だね。」

「そうですね。診察が終わったらちょうどお昼で、お腹が空いちゃいました。」

「来てくれてありがとう。ゆっくりしてきな。」

 

わたしの表情を見て、なんとなく察してくれたんだと思います。店内はお客さんでいっぱいなのにおじさんもおばさんも本当にあたたかかくて、思わず泣きそうになってしまいました。

人の温かみに触れるって、こういうことなんだな。

 

いいバランスだったと思います。心療内科の先生はわたしの事情を知った上で、プロとして距離を保った診療をしてくれました。それはよく理解できるけれど少し寂しくもあり、こんなもんかと病院を後にしてからの食堂。

お店の方達は何も事情を知らないが故に、懐に沁みる温かさをくれました。わたしもここで毒母のことを語るつもりは毛頭ありませんし、やはりどこかに遠慮や距離があるのです。

 

社会ってうまくできてるなぁと思いますし、やっぱりこうやって新しい出会いを作るべきものなのだと思います。

 

またあの食堂へお邪魔しようと思います。

 

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