ある日の仕事の帰り道、ふいに同僚が「ちょっとCOACHに寄ろうよ。」というのでついて行きました。
実のところ、COACHはそれほど足繁く通うお店ではありません。嫌いというわけじゃないんだけど、昔の柔らかい革をふんだんに使っていた、いわゆるオールドコーチが好きなので最近のモデルにはあまり興味が湧かないのです。30年以上前に親戚のハワイ土産でもらったCOACHのショルダーバッグを今だに愛用するくらいですから。
さて、そんなわけで久しぶりのコーチ。今はどんなものがあるのかなと,とりあえず店内をぐるっとまわります。
定番のシグネチャーはもちろん、シンプルな無地のものや花柄があしらわれたものなどさまざまです。
「これ、狙ってるんだよねぇ。」と同僚が手に取ったのは、ハート型のショルダーバッグ。こんなデザインもあるのね。
「定番と違うのが欲しくって。ちょっと個性的でしょ?」
確かに、コーチに限らずハート型のバッグを持つ人は決して多くないので、まあ個性は引き立ちそう。
「たださ、この先10年使えるかは謎よね。痛いオバサンになりそうだし。」
彼女はそんな感じでこのバッグを眺めては自問自答を繰り返し、まだ答えが出せずにいるのだとか。
その日も結局買わずじまいで帰途につきました。
それから数週間後。
久々に帰りが一緒になったその同僚とコーヒーをスタバで飲んでいたら、「そういえばあのバッグね、やめたの。」と、おもむろにコーチの話が始まりました。
「えっあんなに悩んで結局やめたの?」
「うん。だってね…。」
彼女の話によると、交差点で信号待ちをしていたとき目の前にいた70代の女性が同じバッグを持っていたのだとか。
「年齢は問題じゃないのよ。年をとっても素敵な人っているし。でもね、そのおばあちゃんは違ったの。全然どこもオシャレじゃないのよ。背中も曲がってて後ろからシャツが出ていて、スカートもシワシワ。コーディネートもちぐはぐで、そこにあのハートのバッグがあるわけよ。」
想像してみました。
うーん、それは…。
「買う気なくすでしょ。わたしが欲しかったのはこれだったのかって、目が覚めたわ。で、やめたの。」
ズズズーっと、マグカップを上に向けて最後のコーヒーを飲み干す同僚。
そこでしみじみ思いました。モデルさんの力って大きいんだなぁ。
いかにその商品を美しく魅力的に見せるか。そこに売り上げが大いに影響することでしょう。
どんなに品物自体が良くても、それにまつわるものも見合ったレベルにしないとダメなんでしょうね。
たぶんそのおばあちゃんも、美しいモデルが抱えるバッグの写真に自身を投影したんでしょうけど、まあ、現実は、ね。
そういえばわたしにも似た経験があります。
マークジェイコブスのトートバッグが可愛いなと日々ネットで眺めていたある日、クタクタになったそれを抱えてあるく若い女性の姿を街で見かけてやめたことがありました。
時間が経つとあんなにくらびれちゃうんだ…と、物悲しくなっちゃって。
煌びやかなのは一瞬。あとはお手入れをしないと厳しい現実を目の当たりにするのです。
夢から醒めたわたしたちは無駄遣いせずに済んだことを喜びつつ、今日もコツコツ働いています笑。
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