「隙がある」とか「隙が無い」とか、これ一体なんのことだろうって、わたしはずうっと謎でした。
女子同士の噂話で「あの子隙あるよね」「わざとでしょ」という会話も正直言ってちんぷんかんぷん。
ていうか、みんなこれちゃんと定義できるのかしら。
なんとなく、仕事がバリバリできて男が口をはさむと逆に叱り飛ばされそうなお姉さまを「隙が無い」と評する人が多いようにも見受けられますが、そういう人が何もないところでコケそうになったりしてると、それってけっこう「隙」じゃないですか。「えっ意外とおっちょこちょいじゃん!放っておけない!キュン!」てなるじゃないですか。
無自覚に生まれるエアポケットのような魅力、それが「隙」なのかもしれません。
そして時代は流れ、いつしかなんとなく「隙」から「抜け感」に変化してきたように思えます。
同じ意味ではないかもしれないけど、ニュアンスが似ている気がする。
隙は異性にモテるために作り出すイメージがあったけど、抜け感はそこを自分の強みとして取り込んでいる印象があります。
実はわたしはこの抜け感もイマイチ理解できていなかったのですが、最近ようやく分かりかけてきました。
あるとき街で見かけたひとりのお嬢さん。20代半ばくらいでしょうか。
アホ毛など1本も立たない艶やかな黒髪のボブ、白いレースのフレンチスリーブのブラウス、ワインレッドに近いピンクのミドル丈ギャザースカートに同じ色のパンプス。
小さめのかごバッグを持ってお母さまとショッピングしています。
まるでどこかの良いお家柄のお嬢様風ですが、たぶん普通のご家庭(失礼)。
見た目カンペキなんです。頭のてっぺんから足の先までお嬢様。
おそらく本人もそれを意識してコーディネートしているし、その姿に満足してそう。
だけど何か物足りない。そう、「抜け感」がどこにもないのです。
寸分の隙も無く計算しつくされ、迂闊にナンパなどしようものなら冷ややかに無視されて心が折れること間違いなし。知らんけど。
可愛いんだけど、可愛げがない。隙が無いってこういうことか。
本人がそれを目指しているなら全然いいと思います。ナンパで声をかけられるのさえ嫌な子だっているわけだし。
ただ、そうね、トレンドはやっぱ「抜け感」なんでしょうね。
全体的にきれいにまとまっているけれど、2割くらい気を抜いているところがある感じ。
気を抜いてるっていうのは変か、うーん、リラックスしてる感じ?
オフィスカジュアルで仕事がデキそうなスタイリングだけど実はパンツのウエストがゴムだったり、全体的におしゃれ感が漂ってるけど足元がスニーカーだったり。
どこかにひとつ、緊張感の解けたアイテムがあるほうが今っぽいようです。
ふつうに生きる社会で既にじゅうぶん緊張しているんだから、どこかでリラックスして気をほぐしたいという願望の表れなのかもしれませんね。
メイクでも同様で、鮮やかなリップを引きたいならアイメイクはややあっさりの方がまとまりが良くなるそうです。
これ、気をつかわなければ抜け感が出るのかというとそうでもなく、引き算という計算が必要なんですよね。
手入れをするところはしっかりする、気を抜くところは計算して気を抜く。
つまり抜け感を出している張本人はリラックスも何もしていないわけで、なんだか本末転倒な気もしますけど、まあオシャレなんてそんなもんです。
極寒でミニスカートみたいな矛盾を孕むのがオシャレの心意気なんです。
そう考えると、隙の無いファッションのほうが素人にとっては簡単なのかしら。
引き算ってセンスが問われて難しいですよね。
自分は今になってやっと気づいたので別にいいのですが、若いお嬢さんたちが引き算を勉強してファッションやメイクに生かすのは、時間もお金もかかって大変そうです。他にもやらなきゃいけないことが山ほどあるのに。
でもそれが青春なのかなぁ。
自分が通ってこなかった道なので、ちょっと興味深いものがあります。
本日は仕事に追われているのでこのへんで。
文字数減らしてもできれば毎日更新を続けたいです。
感謝日記
観葉植物の植え替えが上手にできた。
おいしいケーキを食べれた。
かわいい駄菓子をもらった。