いつもの病院の帰り。
普段は来ないエリアなので、ついでに気になるお店でランチをするのがささやかな楽しみです。
この日は雑居ビルの地下にある年季の入ったカフェに決めました。
昭和から続くビジネスマンの行きつけと思われるそのお店は、分煙もされておらずソファやテーブルも昔のまま。
好き嫌いが分かれるところですが、わたしはそこまで苦手ではありません。父親がヘビースモーカーだったせいか、まあ許せる範囲です。
お店に入ると7割がた席が埋まっています。
「お好きな席へどうぞ」と言われ、一番奥の厨房に近いテーブルを選びました。
ジュージューと何かを炒める音が聞こえます。給仕の女性が3、4人、入れ替わり立ち替わりやってきては注文を伝えたり料理を運んだり忙しそう。
そこへおもむろに料理人の声が聞こえてきました。
「もう中華丼は受けねぇぞ!俺は中華料理屋じゃねぇんだ!」
選べるランチの中にはしっかり中華丼が含まれているのですが、どうやら注文が重なってイラついているようです。見た感じこの初老の男性がメインで調理をしているようですから、確かに嫌になるのも分かる気がします。
が、愚痴はそれだけでは終わりません。
「大盛りとか少なめとか、イチイチ覚えてられねぇよ!もっとちゃんと目の前でハッキリ言わねぇと。」
「昨日の倒れた客、救急車読んだんだって?勘弁してほしいよなぁこっちは忙しいんだからよ。」
話し方から察するに、従業員を叱りつけるというより聞こえるように愚痴を吐いている様子です。とはいえ耳に入ると気分はあまりよくありませんけど。
給仕をしている従業員も嫌だろうなと思っていたら、その中のベテランと思しき50代の女性が「はいはい。じゃ、この焼きカレーは3番テーブルね。」と軽くあしらっているのが見えました。
へー、と思いその後も観察していると、男性の愚痴の半分以上は無視、残り3割程度で「はいはい」と相槌。他の仲間とは全く関係のない話をしたり上手に指示を出したりして切り盛りしています。
他のスタッフも彼女に倣い、厨房の男性の愚痴には「はいはい。」「はいはい。」の連続。見ていてだんだんおかしくなってきましたが当の男性は気づいていないようです。
そのうちピークが過ぎ落ち着いてくると、男性は優しい口調で「これ、2番さんのピラフ。よろしくね。」と思いやりが出てくるようになりました。
そうか、わがままな男はこうやって適当にあしらっておけばいいのか。
すごく感心してしまいました。夫の嫌味に真っ向から言い返していた自分が情けない。
同じ目線で対等に話したって通じないし認めないし変わらないのですから、あとはこちらが大人になって「はいはい」と生返事しながら聞き流せばいいんですよね。
なーんだ、そうか。
思うに、厨房のこのおじさんさえクリアすれば文句ない環境なのだと思います。だからきっと、ホールスタッフのベテランさんたちは「はいはい」と言いながら自分たちにとって働きやすい状態に変えているんじゃないかな。
わたしはどうなんだろう。夫のモラハラや毒母の言葉の暴力を「はいはい」とやり過ごせば何かが変わるのかしら。
分からないけれど、やってみる価値はありそうです。
感謝日記
読書の時間が確保できた
仕事が片付いた
目標歩数達成