世界がどんなに進歩しても、たぶん未来永劫残り続けるであろう「そんな人だと思わなかった」というセリフ。
つい最近もTwitterで見かけました。矢野顕子さんをフォローしているのですが、彼女が呟いた内容に対して「そんなこと言う人だと思いませんでした」という不快感を匂わせたコメントが。
実際に目の前で言われるならまだしも、ネット上でそれを言うのはちょっとよくわからないかな。
良い意味でも悪い意味でも使われるニュアンスの言葉だと思います。
そんな意外な一面があったんだとか、見かけによらずお酒が弱いんだとか、あら意外と太いのねとか細いのねとか、そこに悪意が感じられないのでわたしはどんどん聞き流しているのですが、よくよく思い返すとけっこう言われてる。
生まれて40年が過ぎた今でも言われるので、よっぽど外見と中身がそぐわないようです。むしろギャップがどんどん広がっているフシもある。
なんかもう、ここまで来たらそれでもいいかなと吹っ切れているんですが。
悪い意味でもちょくちょく言われますよね。もうあんまり覚えてないんですけど、何かの話で相手が急に「そんなこと言う人だとおもわなかった!」と怒り出して去っていくパターンって、幼少期から大人に至るまで続く人生のあるあるだと思います。
わたしがそれを言われたのも中学生の頃でした。
幼馴染を含めた数人のクラスメイトと体育館で遊んでいた時、幼馴染が何かのことで文句を言い出しました。内容はまったく覚えていませんがさほど重要ではなかったので聞き流していると、彼女の怒りがどんどんヒートアップしていきます。しかもわたしに対してだけ。
真剣に相手にするほどでもないと思ったので、当時流行り始めた言葉を使って
「うわ〜キレてる!」
と茶化したら、顔をますます赤くして大噴火してしまいました。そりゃそうか。
今でこそごく普通に使われる「キレる」ですが当時はヤンキーや不良たちが使う言葉とされており、大人の前でそれを言うとよく説教されたものです。
そしてその幼馴染からも「リョウコちゃんがそんな流行り言葉を使う人だと思わなかった!!」とすごい剣幕で言われました。えっそこ?笑
どんな言葉を使おうとわたしの自由じゃんと今なら思えるのですが、思春期真っ只中で友達関係が何より大切だったあの頃のわたしにとって、彼女の一言はグサリときました。
わたしが流行語を使うと人にショックを与えてしまうのか…。
それからは言葉遣いに気をつけるようになりましたし、それと同時に「そんな人だと思わなかった」と言われることにも過敏に反応するように。
しかし、その数年後。
お互い学校も卒業して社会で働くようになったとき、幼馴染は仕事がまったく長続きしないことがわかりました。理由を聞くと、いつも「あんな環境だと思わなかった」「あんな店長だと思わなかった」「あんなにシフトがキツいと思わなかった」の繰り返し。
ああ、そういうことか。
自分の想像と違ったときや思い通りにいかなかったとき、自分の考え方を変えることができず怒りの矛先を職場へ向けて辞めていくのが彼女のパターンだったのです。
おそらく中学時代も同様で、それまでわりと自分の言いなりだったわたしが思うようにコントロール出来なくなり、腹立ち紛れに言い放ったのがそれだった、と。
怒りを込めて「そんな人だと〜」を言う人がみんなこの幼馴染と同じ考えだとは思いませんが、でも似た部分は少なからずあると思います。
言われると一瞬ひるんでしまうけど、よくよく考えたら「あなたはわたしが思った通りの人だわ!」と言われる方が怖いかもしれない。
特に矢野顕子さんのようなアーティストであれば尚のこと。
ちょっとくらい意外な一面があったほうが人としては面白いんじゃないでしょうか。
「そんな意外性も含めて好きだよ」と言えるくらいの懐の広さがほしいものです。
感謝日記
友人の手作りおかずが美味しかった。
車の修理代が意外と安く済んだ。
部屋の断捨離ができた。