30日間チャレンジブログ

40代主婦が綴る小話。

とあるコールセンターのクレーム対策

コールセンターのお仕事にはクレームがつきものです。

相手の言い分がもっともだと思えるものもあれば理不尽極まりないものもあり、どちらかといえば後者のほうが多いのが現状ではないでしょうか。

それでも、相手の望みが単に怒りをぶちまけたいだけの八つ当たり系はまだマシで、手に負えないのは金銭やサービスの要求を最終目標としている悪質クレーマー。

彼らの目的は不満や疑問の解消ではないため、言っていることが支離滅裂でも筋違いでもお構いなし。第一関門の下っ端連中には商品券を渡すなどの権限はないことを熟知しているので、「お前じゃ話にならないから上司を出せ。」と繰り返すのが常套手段だったりします。

わたしは下っ端として働いた経験しかないためクレーマーについての知識はこの程度ですが、もっと上の部署で働いていた友人は弁護士と一緒にクレーマーと戦っていたそうです。RPGでいうところのラスボス戦に当たるわけですからあっさり負ける訳にはいかないそうで、そりゃあもう様々なマニュアルを飛び道具に日々戦い続けていたのだとか。

 

余談ですが、たいていのコールセンターには一次対応と二次対応というものがあります。

みなさんが電話をかけて最初に出る相手は一次対応。今はこれがAIになっているところも多いですね。クレームのみならず、内容が専門的だったり特殊なケースな場合は二次対応に回されます。業務内容にもよりますが、同じブースの上司が対応に当たる場合もあれば別部署へ回されて後日折り返しという場合もあります。

クレームがいよいよ手に負えないときは友人が務めているような部署での対応となり、専門の弁護士がついていることもあるようです。

敵とはいえそこまでのし上がってくるのはなかなかのもの。本丸も心して戦うのです。

「あ、でもね、500円のギフト券であっさり引き下がる人もけっこういるから、時間の無駄だと思ったらササッと渡しちゃうこともあるよ。」

なんと…。時間>ギフト券500円分。それぐらい彼らにとって時間は貴重なんですね。

「経験積むと分かるようになる。この客は500円で引き下がるだろうなって。
でもたまに欲を出すのがいて、これだけゴネて500円貰えるなら、もっと怒鳴ればさらに貰えるとか考えちゃう奴もいるわけよ。」

さて、そんなときはどうしたらいいのでしょう?実はこの回答が拍手喝采モノで、

「下手にでるんだ。”わたくし共の誠意をお伝えしたつもりでしたが、金額の問題ではないということでございますね。大変申し訳ございませんでした。先ほどのギフト券もお客様に不快な思いをさせてしまうだけですので、お渡しは控えさせていただきます。”って。貰えるはずだったギフト券も手に入らないし、そこから上手く丸め込まれて電話切られちゃうし、相手はただ時間を損するだけ。こちらは500円渡さなくて済むし、結果オーライ。」

 

ほほう…!と感嘆の声を上げてしまいました。なんてスマートな切り返し!

謙虚に見せて実はその上を行っているって、すごく華麗なプレーですよね。

 

実はこれ、もう15年くらい前の話です。なので今は対応マニュアルが変化している可能性が高く、法律も変わってギフト券はNGになっているかもしれません。

ただ、下手に出ると見せかけて大きく攻めているこの巧みな話術はぜひ身に着けたいところ。といっても、そんな手ごわいクレーマーを相手にすることなんてそうそうありませんけど。

職場ではなくとも身内には時々います。毒母とか姑とか。理不尽な言い分でわたしを都合よく使おうとすることが、以前より激減したとはいえ消滅したわけではありません。

なぜそこまで人を支配することに固執するのかわかりませんが、クレーマーの心理なんて理解する必要ありませんから、こちらはただマニュアルに沿って対応するのみです。

 

15年前の友人の話に学びを得たわたしは、「久しぶりにリョウコさんの手料理が食べたいわねぇ」という姑の要望に「わたしの料理なんてまだまだです。お義母さんを満足させられるとは思いませんからお寿司を取りましょう。」と反撃したことがあります。

わたしの手料理を食べたいんじゃなくダメ出ししたいだけ。今までず~っとそうでしたから、作っても楽しいことなんて何一つないんです。

分かり切っているけれど、まさか「どうせケチつけてストレス発散したいだけだろーが」などと言ってはその先地獄ですから、やはり友人の作戦が有効なわけです。

ああ、人はこうやって賢くなっていくんだな。

 

声だけのコミュニケーションで人と関わる仕事をしているコールセンター業務は会話のプロといっても過言ではありません。

ストレスの多い業種だと思います。ほんとうに、おつかれさまです。

 

感謝日記
面白い本に出会えた。
やっと収納グッズを購入。
気になっていた棚を整理できた。