30日間チャレンジブログ

40代主婦が綴る小話。

恐ろしく相性の悪かった男友達

袖擦り合うのも多生の縁。

擦り合ったことをいちいち覚えていられるほど人間は暇じゃありませんのでそのほとんどは忘れ去られているはずなのですが、ごく稀に何かの拍子に

「しかしアイツとの相性はサイアクだったな」

と苦い記憶が蘇ってしまう相手というものがいます。

 

今回もそれでした。たぶん、背格好の似た人を見かけたとか同じ香水をつけている人とすれ違ったなど、気づかないうちにトリガーを引いていたのでしょう。

何の前触れもなく、突如ムカついた記憶が呼び起こされました(笑)。

 

もう20年以上前の話。きっかけは1本の電話でした。その相性の悪いアイツからいきなり、

「お前、何話したんだよ!」と怒り声。

何のことかサッパリわかりません。本当に思い当たるフシが何もない。

「あの、何のことか全然分からないんだけど。」

「だから、俺の彼女に余計なこと話したのはお前だろ!」

「???ごめん、何の話なの本当に?」

確かにこいつの彼女はわたしの友達だけど、時々メールもするけれど、一体何が「余計なこと」に当たるのかまったく身に覚えがありません。そもそもコイツにとっての余計なことって一体何なのさ。

「お前、俺の彼女にYちゃんのこと話しただろ。」

「ああ、そうね。Yちゃんに会ったことは言ったかも。」

「それが余計なんだよ。なんでYちゃんに会うんだよ。めんどくせーことしてんじゃねぇよ。」

「???」

Yちゃんは普通にわたしの友達で、別にそんなのコイツにも彼女にも全く関係のないことです。

とにかく話が全く見えませんし会話も噛み合わない。やっと少しわかってきたのは、女癖の悪いコイツが彼女にもYちゃんにとっても都合の悪い何かをして、どうやらその原因がわたしだと思い込んでいるらしい、ということ。

そんなの知ったこっちゃないわと思い、

「話がサッパリ見えないけれど、そもそもの原因はアンタにあるんじゃないの?」

「何だよそれ!」で、ブツリと電話は切れました。

 

それから数週間後。

Yちゃんからメールが来て、近況報告など他愛もないことをやり取りしていると、「ところでさ。」と急に話題が切り替わりました。

そして先日わたしにブチ切れた、あの男のことを語り出したのです。

が、やっぱり彼女が何を言っているのか全く理解できません。
内容がチンプンカンプン過ぎて今となっては覚えていないのですが、とにかく自分の知っていることを正直に伝えると、「じゃあ、お互いの誤解がこれで解けたっていうことだよね。仲直りして、元の関係に戻ろうね。」で〆。

「…………?………う、うん。」

わたしたちの関係ってこじれてたの?全然知らなかった。そしてわたしは何かを誤解していたようですが、それも思い当たるフシがこれっぽっちもありません。

だんだん腹が立ってきました。これはわたしがどうこうじゃない。恐らくあの男が、自分に都合の悪いことをわたしのせいにしてYちゃんと自分の彼女を欺いている。

 

最終的に判明したのは、この男、本命の彼女がいるにも関わらずYちゃんともいい感じに関係を進めていたようです。もう半ば付き合ったも同然の仲になりかけた頃、タイミングよくわたしが彼女にYちゃんの話題を出しました。

それは単なる偶然に過ぎず、内容も彼らのこととは無関係。ですが、怪しく感じた彼女がこの男にYちゃんのことを問い詰め、男はわたしがYちゃんと奴のヒミツの関係を彼女にバラしたと思い込んだ、と。

Yちゃんをキープしたいこの男、今度はYちゃんに「あの女が俺たちの仲を壊そうとしてあることないこと言ってるけど、俺の彼女はYだけだから。」という嘘を吹き込み、それを信じたYちゃんが勝手にわたしに悪感情を抱いていた、と。

 

めちゃくちゃにもほどがあります。呆れてものが言えません。

全ての事実が発覚した時点で、わたしはこの男とサシで話をしました。

「要はアンタが二股かけてるのを隠すためにわたしを利用したってことじゃない。何考えてるんだのよ。」

「そんなこと言ったって、両方から告白されたんだから仕方がないだろ。」

「バカじゃないの?ひとりに絞りなさいよ。」

「タイミングが悪かったんだよ。Yちゃんと付き合いたかったけど引っ越しちゃったじゃん。そうしたら今の彼女に告白されてたから付き合い始めたんだよ。
その後Yちゃんに告られてさ。遠恋だから何もできなくて、メールと電話だけしてるけど。
つまり、お前が余計なことをあいつらに喋らなければ、俺は彼女ともYちゃんともうまくやれてたんだよ。やっぱり悪いのはお前だな。」

呆れてそれ以上会話を続けることができませんでした。

わたしが彼女たちの共通の友人でなければ、互いの名前を会話の中で出さなければ、

この男は彼女と付き合いつつYちゃんとも仲良くやっていけると本気で思い込んでいる。

女の勘を舐めてますね。おそらく彼女もYちゃんも男の態度に疑問を感じていたので、わたしとの会話をきっかけに男を責めたんじゃないかと思いますが、今となってはどうでもよい話です。

この男と会ったのはこれが最後。数年後、新しい職場で出会った受付嬢と結婚したと風の噂で聞きました。

 

単にわたしとの相性が良くなくてトラブルの責任を押し付けたのか、
それとも性格が悪くて都合の悪いことを他人のせいにする傾向があるのか。

彼の本性は分からずじまいだけど、これ以上関わりたいとも思いません。

後にも先にも、こんな卑怯なやり方をされたのはコイツただひとり。

願わくば今後もこんな人種とは関わらずに人生を歩んでいきたいものです。

 

感謝日記
奮発して食べた高級パンケーキが絶品だった。
他部署に異動した上司と久々に会えた。
美味しいパン屋さんを発見。