30日間チャレンジブログ

40代主婦が綴る小話。

楽しきビンボー生活

原田宗典さんの好きなエッセイのひとつが、タイトルの「楽しきビンボー生活」です。

爪に火を点す清貧な大学生活をどれだけ笑いに変えていたか、という内容でした。

かいつまんでお話すると、ほぼ空になったネスカフェのインスタントコーヒーの瓶にお湯を注ぎ、底に固まったコーヒー粉を溶かして飲みながら「ダバダ~♪」と口ずさむと優雅な気分になれたと錯覚するよ、といった内容です。

 

20代前半の頃、このお話が本当に好きで何度も繰り返し読みました。当時のバイブルと言っても過言ではないかも。

父親がアル中だったこともあり、わたしもどちらかと言えば貧乏育ち。
明日飲ませるミルクがない中、父親が好きなだけ飲んで泥酔して帰宅、みたいなことがよくある家庭だったそうです。
わたしにとってはそれが普通だったので特に何とも思わず生きていたのですが、母親にとっては違っていたようで、よく他の家庭と比較しては嫌味や負け惜しみのようなことを口にしていました。

そんな毒母に居場所を作ってあげたのが宗教なわけで、当然毒母はそこに救いを求めてのめり込むわけですが、それでもやっぱり貧乏コンプレックスは解消されないままでした。

海外旅行に行ったりヴィトンのバッグで会合に来る他の信者さんを批判したりディスったり。
「あんなのは本物の信仰じゃない。うちみたいに貧しく生きるのが正解なんだ。」
「うちは正しいことしているから苦しいんだ。ラクな生き方じゃ神さまは喜んでくれない。」

ずうっとそう教えられると、まぁそういうものかと子どもは信じるわけで、わたしも長い間「うちはお金がないから欲しい物全然買えないしつまらないけど、それがいいことなんだろうな。」と思い込んでいました。

が、しかし。原田宗典さんのエッセイで見方が大きく変わります。

「どうせビンボーに生きるなら、面白おかしいほうがいい」

たぶんわたしは根が陽気なんだと思います。どんなにつまらないことでもいいから、1日1回くらいはワハハと笑った方が人生楽しいよなと考えるタイプ。

辛い辛いと言いながらカミサマを拝むのは性に合わない。
というか、よくよく勉強すると経典にも宗教の教えにも貧乏を勧める教義なんかありませんでした。
カネに目がくらんで人の道に外れるような行いをするのは間違ってるとか、シンプルに生きた方が自然のありがたさを実感できる、という教えばかりです。
自分の生活にコンプレックスを抱いている人たちが、自己肯定感を上げるため「貧乏こそ正しい」と都合よく解釈して広めたんでしょうね。

そう気づくと自己憐憫が恥ずかしくなり、逆にどうしたら楽しくなるだろうと工夫するようになりました。

 

そう、子どもの頃から好きな本、家なき少女のように工夫して生きたいなと。

kasai-ryoko.hateblo.jp

 

20代そこそこですからやっぱりお金はないし、割のいい仕事もあまりない。
節約を楽しむしか方法はなく、もやし料理のレパートリーを増やしたりクーポンを駆使したりするところからスタートしました。

やみくもにやっても意味がないからガイドブックが欲しいなと探したところ、雑誌の「サンキュ!」が自分のニーズに合っていたのでさっそく購入。
主婦向けの雑誌ですが独身の自分にも大いに役立ちました。
特に良かったのは袋分け。食費、光熱費、通信費、娯楽費と給料日にそれぞれの予算を振り分け残りは貯金。
食費に関してはそれをさらに4週分に分け、1週間単位で予算を組んで買い物をしていました。
週の残りは5週目の封筒に入れれば1か月過ごせます。

 

これを結婚してもずっと続けていました。
細かく家計簿をつけるのが苦手なので、先に袋分けをするこの方法が合っていたと思います。
貯金の習慣もつけたくて、サンキュ!の「6カ月で10万円貯金」特集の号を買いました。ハードルが低く実践しやすかったのが幸いし、6か月後には見事達成。

これに弾みがついて、海外移住の初期費用100万円も達成できたのだと思います。

 

当時はポイ活も少なかったしクレジットカードのポイント還元も今ほど盛んではなく、主に現金でやりくりするのが主流でした。
無料で楽しめるイベントをフリーペーパーで探したり図書館で本を借りたり。
リサイクルショップやフリマで掘り出し物を見つけたり。
家のちょっとした修理や服のお直しも自分でやりました。


大変だったけど、楽しかったな。

今も、若い方で節約を楽しんでいる方は多いですよね。
最近だと株主優待やポイ活、資産運用やウェブ副業が主流でしょうか。

興味がない人にとっては、ポイントを他社ポイントに交換して運用して増やすなんて面倒くさく見えるかもしれませんが、本人は楽しんでやってるのだと思います。

20数年前に節約ブログを書いていた皆さんも、時経つうちにみな止めていきました。
おそらくそこまで節約しなくても大丈夫なくらい、経済基盤が整ったのだと思います。
わたしも気づけばそこまでケチケチしなくなりました。

でも、若い頃に培った堅実さはその後も役立っていると思います。
衝動買いをしないとか、吟味してから物を買うなど習慣として染み込んでいるものもあります。

 

ビンボー生活を楽しく過ごすことで得られるものはきっと大きい。

現状を嘆くより、工夫して生きていきたいものです。

 

感謝日記
ぐっすり眠って休養できた。
メスティンパンがさらに美味しく焼けた。
しっかりポイ活できた。