巻き爪、つらいですよね。人には気づかれにくいものの、いったん腫れるといつまでも痛い。
わたしも気づけば足の親指が巻き爪になっており、履く靴が限られてしまって切ない青春時代を送ったものです。
ひとくちに巻き爪と言っても症状は様々で、痛みの度合いや直し方も個々で異なります。
わたしはそこまで重症ではなく、足の親指の片側が指に食い込んでいる状態。
切り方によってその食い込み部分に負担がかかり、赤く腫れて歩くのが困難になります。
初めてその痛みを経験したのは中学1年生のとき。
何かのはずみで歩くたびに指がズキズキと痛み、見れば赤く腫れあがっているではありませんか。
さすがの母親も心配し、近所の小さな整形外科へ連れて行ってくれました。
先生はわたしの足を見るなり「あーこれは巻き爪だね。」とあっさり。
その仕組みについてざっくりと説明をしたのち「簡単だから今すぐ手術しちゃおう。」と、席を立ってどこかへ行ってしまいました。
先生の口ぶりから「あ、そんな簡単に治るんだ。」と思ったわたし。
実はこの日は学校があったのですが、痛みに耐えかねて先に病院へ寄ったのです。
母親も巻き爪の知識がゼロだったため、「サッと治療してそのまま学校に行けばいいでしょう。」と、遅刻の連絡すら入れていませんでした。
が、しかし。
戻ってきた先生の手には超デカいペンチ。どう見ても大工道具です。なんでそんなのが病院にあるんだ。
「ハイそこに横になって。」
言われるがまま診察台に寝そべります。すると先生は突如わたしの足をガッと抑え、爪の食い込んだ部分をペンチで挟んでブチッと引き抜くではありませんか。
「イッ…痛い痛い痛いー-------ッ!!!!!!!!!!!」
すると先生
「当たり前だ!麻酔してないんだから痛いに決まってるだろう!」
何言ってんだこのヤブ医者!と叫びたいところですがそれどころじゃありません。
もー痛いのなんのって。足から火が出たかと思うくらい痛い。
まあ、抜いてしまえばそれ以上やることはありませんから、「ハイ終了。止血して。」と看護士さんに言い残し先生は奥へ。
「止血の道具を取ってくるからちょっと待っててね。」と看護士さんが席を離れたスキに、顔を上げて自分の足がどうなっているかをチェック。
なんか親指から血がダクダク出てるんですけど。
引っこ抜かれた瞬間の痛みがMAXだったせいか今はそうでもなく、その代わり足元が熱い。衝撃でジンジンしてたのかな。
包帯やらなにやらで足をグルグル巻きにしてもらい、お代を払って病院を出ます。
とりあえず歩けます。痛みはもう、よくわかんない。
それを見たさすがの毒母、「歩けるなら学校に行きな。遅刻した理由は自分で話すんだよ。」と、わたしを車に乗せ学校へ連れて行きます。
「えっこれで授業受けるの?」
「当たり前でしょ!治療してもう痛くないんだから、学校行くに決まってるんだ!」
いや、まあ、巻き爪の痛みは確かにない。ないけど、そういう問題なのか…?
思考がグルグル回るけど、当時中1のわたしにそれ以上反抗するチカラなどあるはずもなく、「行けと言われたら行くしかないな。」と、片足を引きずりながら学校へ。
遅刻したわたしを先生は一瞬睨みつけましたが、歩き方がおかしいことにすぐ気が付き「どうした。何があった。」と尋ねてくれました。
事情を説明したところ、
「そうか分かった。しかし、それじゃあ明日の体育祭は無理だな。」
そうなんです。実はこれ体育祭の前日の出来事だったのです。
この痛みでは競技に出られないなと思い病院へ行ったわけですが、ますます参加できない状態になってしまいました。
それほど運動が得意だったわけでもなく、出たところで賞なんか取れないのは分かり切っていましたから、内心「ラッキー」とニヤけていましたけど。
ちなみに母親は自分の病院のチョイスが間違っていたことを認めることができず、
「麻酔を使わない方が早く治るんだ。先生はそれを知っていたから麻酔をしなかったんだ。」とずっと言い張っていました。
しかし残念ながら完治はせず、数年後また同じように巻き爪になってしまいます。
麻酔無しはもうゴメンだと、今度は周囲の評判を聞いて別の病院へ。
先生に説明をしてから「かくかくしかじかで前回すごく痛かったので、今回は麻酔をしてほしいんです。」とお願いしたところ、
「頼まれなくても普通は麻酔をするよ…。」を呆れ気味に言われました。
そこでやっと「あの医者ヤブじゃん。」と気づいたわたし。
ちゃんと麻酔をして丁寧に処置をしてもらい、その後巻き爪に悩まされることはなくなりました。ちなみに治るスピードも大して変わりませんでした。
今でも巻き爪に悩む知人友人はたくさんいますけど、誰一人麻酔なしで爪を引っこ抜いた人などおらず、話を聞いた人はほぼほぼドン引き。
どこかにひとりくらい「わたしもそれやったよ~!」って言ってくれる人はいないものでしょうか。
感謝日記
お友達をお茶に誘えた。
バスが危うく車にぶつかりそうになったけど、間一髪切り抜けた。
1万歩歩けた。