何年かぶりにクラシックのコンサートへ行きました。
フルオーケストラではなくアンサンブル。
すごく良かった。心が洗われるってこういうことを言うのかなと思えるくらい。
最近私が行くコンサートはあまり敷居が高くなく、ドレスコードも特に定められていないカジュアルなものが多いのですが、それでもちょっと気を引き締めて、白いブラウスに麻のロングスカート、足元は久しぶりのパンプスです。
通勤や仕事ではもっぱらスニーカーだし夏はスポーツサンダルと、動きやすさ重視で履くものを選んでおりオシャレは二の次だったのですが、今日くらいはね。
しかし痛い。お店の人が「走れるパンプスです」と勧めてくれたはずなのに、履き慣れていないせいかつま先がすぐ痛くなる。これで走るのは無理すぎじゃね…?
会場に入るまでは澄ました顔して歩き、コンサート中はずっと脱いでました。会場は薄暗いしみんな演奏に集中しているから誰も気づかず無問題。
とくに年齢制限はなかったのですが、お客さんはわりと高齢の方が多く全体的に落ち着いた雰囲気。
客層が客層だけに、ホールに併設されているコーヒー1杯750円の高級レストラン(わたし的に)も満席。
いつかここでコンサート前の腹ごしらえをできるようになりたいわと羨望のまなざしをむけつつ、わたしは中庭で時間つぶし。
すると、近くのベンチで談笑する奥様方のお喋りが聞こえてきます。
「今日も家を出るときに夫がうるさかったわ。”お前がいない間に何かあったらどうするんだ”って。」
「うちもそうよ。洗濯が終わってないとかご飯が足りなかったらどうするんだとか。」
「いつもそうよね。妻が家を出るときに必ずグチグチ言うのよね。」
思わず「わたしも混ぜて下さい」と言いそうになりましたがガマン(笑)。
あれは一体どういう現象なんでしょうね。コンサートで家を空けるのなんてせいぜい3,4時間程度です。その間に何が起こるというのか。つーか何か起こっても対処すれば済む話じゃないの。
きっとあの奥様方も、そんな世話の焼ける日常から解放されるために来たんだろうなあ。
表では素知らぬ顔をしつつも内心では仲間意識を勝手に抱き、いざ会場へ。
ここのホールで楽しみなのがカフェコーナー。
コーヒーやサンドイッチなどの軽食を、立食形式で楽しめる場所が数か所設けられています。
ここのコーヒーは1杯400円と、庶民のわたしでも楽しめる安心価格。
同行する人によっては、それでも「高い」と言われてしまうのですが、わたしは雰囲気込みの値段だと思うんですよね。
演奏者の友人や家族とおぼしき方々が互いに挨拶を交わす様子や、プログラムやパンフをじっくり見ながらコンサート前に気持ちを整えているおひとりさま、いつか自分もここで演奏したいと目標を持っている音大生。そして、純粋にクラシックを楽しむために訪れている上品な老夫婦。
そんな静かで和やかな様子を眺めながらゆっくりコーヒーをすするのがすごく好きなんです。
が、しかし。残念ながら今回はコロナの影響かクローズしてました。
仕方なく、自販機で買ったペットボトルの天然水を立食テーブルで飲むわたし。空しい…。
プログラムの構成もすごく良かったです。
カプースチンが演目に入っていて、クラシックの中でJAZZの要素がピリッと効いています。
バイオリンとチェロ、ピアノによる三重奏も音が澄み切っていて本当に素敵。
アンコールのないコンサートでしたがそれでも拍手が鳴りやまず、演奏者が何度もステージに戻って挨拶をしてくれたのも良かったです。
会場が満たされた雰囲気になり、杖をついた年配者を優先するなどの気遣いも見られます。
皆口々に「良かったねぇ、すごく良かった。」と感想を述べ合いながら会場を去って行くのがとても爽やかでした。
やっぱり生の音っていいですよね。CDやネット越しに聞くのとは全く違う感動があります。
緊張で張り詰めた空気の中、1本筋を通すように奏でられるバイオリンの音色。
最初は無色の空気を鮮やかなタッチでカラフルに染め上げるピアノの音。
空気の質感や重さまでも変えてしまう楽器のパワーと、それを自由自在に操る才能。
音楽の凄さを改めて肌で感じました。
少し前に見た動画で、ホリエモンが「今はライブもネットで見れるじゃないですか。」と言った時、エイベックスの松浦会長が「いやあ、直に見るのとは全っ然違うよ。コンサートはやっぱ生で見なくちゃダメだよ。」と力説していたのですが、もう両手を上げて賛同します。この世から生の音を消してはいけない。
コロナ前は小さなレストランでミニライブなどがよく開催されていましたが、また少しずつ復活の兆しを見せているようです。
暑い夜とアコギとボーカルってめちゃくちゃ相性良いですよね。思わずビールが進むの分かる気がする。飲めないけど。
今年はそんな夏が戻ってきてくれるといいな。
感謝日記
おいしいウナギを食べた。
目標歩数を歩けた。
観葉植物が生き生きしていてうれしい。