宗教の講演会で、「学校の英語はSchoolですが、これはギリシャ語のskho·leʹから来ている言葉です。スコレーにはもともと「余暇」という意味があり、余暇に議論や講義、研究や学問を行うことも指していました。」という話がありました。
これは教理というより普通に言語学の分野ですね。
スコレーという言葉が使われていた古代ギリシャでは、生活に余裕のある貴族階級しか学問に勤しめなかったようです。労働者階級にはその時間的な余裕がなかったため、知識や教養を身に着けられなかったのでしょう。
これを聞いて「なるほどなあ」と深く考えさせられるものがありました。
たしかに、昔の日本でも農作業が忙しく学校へ行かせてもらえなかったという話があります。
生き延びるため、ただ明日の命を食いつなぐためだけなら、議論や講義は必要ないのかもしれません。
自分が何者なのか、どうして人は生きているのか。そして、どうして生きていかなければならないのか。なぜ人は死ぬのか。さらに、死んだらどうなるのか。
労働者にそんなこと考える暇はありません。明日の天気はどうなのか、どこの雑草を抜かなければならないか、タヌキに畑が荒らされていないか、日照りで収穫が少なくならないかと、早急に考えなければならないことが山ほどあるのですから当然です。
でもたぶん、人は動物と違い学びたいと願う生き物です。
土を耕す作業ももっと楽にするにはどうしたらいだろう。
肥料をもっと楽にたくさん作れる方法はないだろうか。
考えて工夫するうちに、トラクターが使われるようになったり化学肥料を工場で作れるようになったりして、作業が少しずつ楽になります。
労働者にも余暇が生まれ、学ぶ時間を持てるようになります。
日本以外の国の農法を学んだり、経営を学んだりして自分で豊かになる方法を会得し、実践する。
人間の歴史って、きっとこれの繰り返しなんだと思います。
学んで考えて実践して生活を楽にし余暇を作る。
その余暇を使ってさらに学び、考え、実践する…。
その結果、ルンバがお掃除してくれるようになり、ドラム式洗濯機で乾燥まで済ませ、センサーで電気がついてスイッチを押す手間さえ省けるようになったのです。
それはつまり、余裕のない生活はあまりよろしくないとも考えられるわけで。
人前で「忙しい、忙しい」と言うのがクセになっている人がいます。
子育て中の方などは実際に多忙ですからそう仰るのはもっともだと思うのですが、
わたしが独身のとき、似たような立場で「忙しい」を呪文のように唱える人が数人いてちょっと不思議でした。
そんなに忙しいなら仕事のあとは真っすぐ家に帰ればいいのに、なぜか飲み会に参加してみたり。
そして、いつまで経っても忙しいままで生活が一向にラクにならないのです。
大変な状況を変えたいと思わないのかなと、見ていてすごく不思議でした。
今にして思えば、たぶん考える余裕がなかったんじゃないかな。
人前で忙しさをアピールすることに快感を覚えてしまい、改善を望まなくなってしまう。
その生活はたしかに忙しいかもしれないけれど、ある意味ラクなんだと思います。
考えることも挑戦することも工夫することもないのですから。
自分の無知を受け入れる心の準備や、新しい知識を誠実に取り入れるのは簡単ではありません。
それに、学んだばかりの学問を実践に移すことには失敗もつきもの。それを乗り越え、工夫し、挑戦し続けなければ成功にたどり着けません。
思考停止で「忙しい」を連呼していれば、自分の無知をさらして恥をかくこともありませんし、失敗に落ち込むこともありません。
でも、本当にそれでいいのかな?
現在の教育制度は、余暇が無くても学べるようにできています。
睡眠不足でもバイトでクタクタでも、とりあえず学校へ行けば授業が聞ける。
月謝さえ払えば、塾でさらに勉強ができる。
だけど、それはたぶん実践には結びつかない…。
「余暇=学ぶこと」だけど「学べる=余裕がある」というわけではなさそうです。
なかなか厳しいものがありますね。
自分が成功するための学びには、それを頭に蓄えられるだけの余暇や余裕をまず準備しなければならない、ということでしょうか。
人によっては視点や考え方から矯正が必要になってくるかもしれませんね。
「自分は多忙だと思っていたけれど、考え方を変えたら時間に余裕が生まれた」と仰る方も少なくありません。
そういう方々は、海外の文献を参考にしていることが多いように見受けられます。
今の日本の常識では余裕を生み出すのが難しいということでしょうか。
影の学びや努力を決して見せず、いつも余裕ある振る舞いをしている人もいます。
わたしはそういう方々から学びたい。
まだまだ未熟で同じ目線で語り合うのは無理だけど、いつか実現させて成長へとつなげたいものです。
感謝日記
2年ぶりに友人と再会できた。
おいしいケーキ屋さんを見つけた。
頂き物のお肉がおいしかった。