とても大切にしている1冊です。
メンタリストDaiGoさんの動画で紹介され興味を持ちました。
「格差と競争の社会のなかで、あなたは少し疲れてきていませんか。」
世界のどこにでもある状況です。
先進国でも発展途上国でも、上場企業でも中小企業でも、家庭内でも学校内でも宗教内でも格差と競争で溢れかえっています。
この本を手に取ったとき、わたしもその渦中にいました。
もともと競争というものが肌に合わないので、極力みんなと同じレールではなく外側を歩くように生きていたのですが、競争心の強い人から見るとそういう存在は面白くないようです。
ひとりだけ違うレールを作って走っているとやっぱり目立つじゃないですか。それが腹立たしいようです。注目を浴びる存在は自分であるべきだと考えるらしい。
そのため、競争心の強い人はわたしを自分と同じレールに引っ張り込み、先に行かないよう圧をかけ、おまけに自分が1位を取る手助けをするよう強制したり脅したりする。
本当に1位を取れる実力のある人はそんな小細工をする必要はありません。
分不相応なステータスを狙う欲張りがそういう行動に出がちです。
そんな人たちにこれ以上搾取されたくない、邪魔されたくないという思いからこの本を読み始めました。
だからといって、読んだあと急に嫌な人が目の前から消え去るわけではありません。
嫌いな人たちからの攻撃がなくなるわけでもありません。
でも、彼らよりも強い心を持てるようになります。
攻撃されても、それをひらりとかわせるようになります。
嫌味を言う人たちは、それが嫌味=相手にダメージを与えるものと理解したうえで嫌味を放ちます。
こちらが恥ずかしい思いをしたり、プライドを傷つけられてみじめな思いをしている様子に喜びを感じます。
その餌食にならないため、セルフコンパッションをしましょうというのがこの本の考え方です。
セルフコンパッションとは、大まかに言うと「ありのままの自分を受け入れること」。
そう言われてもピンときませんよね。
プロセスをかみ砕くとこんな感じです。
「あなたって何をやってもトロいわね」
↓
嫌なことを言われて辛いなあ。
↓
でも、人生には辛い出来事ってつきものだよなあ。
↓
辛い気持ちでいる自分に優しくしてもいいかな。
↓
いたわる気持ちを自分に向けてもいいかな←これがセルフコンパッション。
「トロいわね」と言われると、つい「確かに、この人みたいに自分は手早くできない。だからこんな酷いことを言われるんだ。自分なりに努力しているけどそんなの誰も見てくれない」と考えてしまうかもしれません。
この本の著者クリスティーン・ネフさんによると、この考え方はネガティブ思考を引出し、その後も思い返しては不快な感情を何度も呼び起こすという悪循環に陥ってしまい大変危険だそうです。
「この人みたいに手早くできない」は、他と比べているということ。
「誰も見てくれない」は、他の人の目を気にしているということ。
これら外へ向けている注意力を自分に向けましょう、とネフさんは書いています。
具体的にどうするかというと…。
まず「そう、自分は仕事がおそい。」と、出来ないことはあっさり認めます。
そして「だから、そこを改善するよう少しずつ努力中だ。3カ月前よりはかなり早くなった。」と、他人ではなく過去の自分と比べて努力を認め、そこを褒めます。
開き直らないのがミソですね。
加えて、「仕事はまだゆっくりだけど、そのぶん正確だし仕上がりもきれいだ。」と、既にできている部分に注目して評価します。
これは、上記の「自分にやさしくする」に該当します。
最後に、「だいじょうぶ。わたしはちゃんと仕事をしているし、成長もしている。」と自分を認められるようになり、セルフコンパッション完了、と。
これがさらに進化すると「許し」へ繋がるそうで、
「この人はわたしの努力を知らない。状況を何もわかっていないからこんなことを言ってしまうのね。」という慈悲の気持ちが生まれるそうです。
たしかに、ここまでくるともう嫌味として機能していませんよね。
ここへさらに「ええ、わたしはそこが弱みなんです。誰にでも欠点ってありますものね(にっこり)。」なんて言われようものなら返り討ちに遭ったも同然。
嫌味を言う側は面白くないでしょうから、いずれそんなこと言ってこなくなります。
結果、さらに伸び伸びと自由に行動できるようになります。
自分らしく生きるとは、ネフさんに言わせるとそういうことのようです。
もちろん、いきなりこんな考え方はできません。
自分のできない部分を素直に認めるのもなかなかハードルの高い作業です。
ネフさんはそこもきっちりサポートしてくれています。
少しずつ、でも着実に心を豊かに解放してくれます。
仏教の要素をかなり取り入れており、瞑想なども勧めています。
税抜き3800円と決して安くはないので、まずは図書館で借りてみるのもよいかもしれません。
少しラクに生きられる方法のひとつとして、頭の片隅に置いていただけると嬉しい1冊です。
感謝日記
お年寄りに席を譲る学生さんを見て温かい気持ちになった。
元気に散歩する高齢のご夫婦を見て、自分も運動を頑張ろうと思った。
試しにスポーツウェアの着心地が良くて最高。