30日間チャレンジブログ

40代主婦が綴る小話。

原田宗典さんのエッセイ

学生時代に笑い転げながら読んだ、原田宗典さんのエッセイ。
実は彼の作品は読んだことがありません。エッセイだけ。

高校時代、わたしの周囲にはサブカル女子がちらほらいて、世間で脚光を浴びることのないユカイなものを探しては教え合うのが習慣になっていました。
クラスのカースト上位のイケてる女の子たちがnon-noの最新号を回し読みしているとき、わたしの目に留まったのは友人が呼んでいる原田宗典さんのエッセイでした。
どの作品だったんだろう。たしか「東京困惑日記」だったと思うんだけど…。

 

ちょうどそれを読み終えたところだったらしく、友人は快く貸してくれました。

もうね、涙が出るほど笑いました。腹がよじれるという体験をしたのはおそらくこの時が初めてです。

特に「ビロウな話」が最高。お下品だけど、まあ誰でも下品な笑いは好きですよね。

 

あまりに面白くて本当は買って家に置いておきたかったけど、毒母に見つかると大変な騒ぎになるのが目に見えていたので購入は断念。その代わり、学校にリクエストして図書館に置いてもらいました。
たぶんいつの時代もそうだと思うのですが、読書に興味を示す高校生は全体から見れば少数派。学生にもっと本を読んでもらいたいと願う学校側としては、本のリクエストなんて嬉しかったのかもしれません。
当時わたしの欲しい本はほぼ学校に買ってもらっていました。
リクエストした人はいちばん最初に借りることができるという特権つき。
真新しいハードカバーの本を開いて、貸出カードのいちばん上に自分の名前を書ける喜びは格別なものがありました。

 

おそらくあの時代、原田さんは脂がのったエッセイストとしてどんどん新刊を出していた時期だと思います。
「スバラ式世界」や「十七歳だった!」など、どれを読んでも笑いすぎて涙が出る。

ただ面白いだけじゃありません。早稲田を受けるときの作戦はその後のわたしの人生にかなり大きく影響しました。
不得意教科から逃げて進学するためには早稲田しかないと考え、3科目だけ徹底的に勉強します。それ以外の科目(数学など)の成績が悪くても「原田は早稲田の文学部を目指しているから、数学の点数が低くても仕方がない」という評価を得られたという話なのですが、「なるほど!」と思いましたね。
オールマイティな完璧主義を目指したって出来るわけがないのだから、見せ方を工夫すればいい。
なーんだ、それでいいんだ。

原田さんのエッセイは、笑いを呼ぶのはもちろんのこと、肩の力の抜き方も教えてくれていたと思います。

 

そんな作戦が見事功を奏し、原田さんは早稲田に進学するわけですが、その大学生活をつづった「楽しきビンボー生活」の話もお気に入りでした。
お金がなく、節約に節約を重ねて大学に通う日々ですが、それを実にポジティブに乗り越えるのです。
インスタントコーヒーの粉が瓶の底にへばりついて取れないときはそこにお湯を注いて瓶から飲んだりするのですが、そのときにも「ダバダ~♪」と、当時ネスカフェのCMで流れていたメロディーを口ずさんで優雅なひと時を演出。
もう笑うしかない節約術だけど、でも笑いを忘れた節約生活なんて悲しすぎるじゃないですか。ユーモアのセンスは失くしてはいけない。

 

その頃、宗教幹部を目指すため活動に従事し生活をかなり質素にしていた年上の友人がいまして、「これでも読んで気楽になりなよ。」と原田さんのエッセイを貸してあげたことがありました。どうやら相当面白かったようで、返してくれるときに「あれから毎日ダバダ~と歌いながらコーヒー飲んでるよ。」という感想文まで添えてくれて思わずニヤリ。
やっぱね、苦行だけで成長できるのはごく限られた人間だけで、凡人は笑いと共に己を高めていくくらいがちょうどいいんじゃないかしら。

 

わたしの青春を陰で支えてくれた原田宗典さんですが、新刊の出るペースが落ちるのと共にわたしも徐々に彼の本から離れていきました。
何年も経ってから、病院の待合室でふと手に取った雑誌に彼の手記が載っており、そこで躁うつ病の薬を飲んでいるという一文を見たときは驚きました。
クリエイターとしての苦悩があったのかもしれません。

さらに、このブログを書くにあたりまたしても久々に検索してみたら、なんと2013年に大麻所持で逮捕されていたとのことでした。
あらあら、なんとまあ。

そんな波乱をくぐり抜け、今でも作家として活動しておられるようです。

大麻で捕まっている人なんてそれこそ山のようにいると思いますが、名の知れた人はこんな風にずっとネットで晒されてしまうのだから大変ですよね。
それでも、あきらめずに書き続ければ、その才能でまた多くのファンを買い戻せると思います。
過去の失敗を凌ぐ魅力を放つのが才能の力。原田さんには、そんな才能があるはずですから。

 

感謝日記
アメリカの仲間との新たな出会いがあった。
頂き物のお菓子がおいしかった。
アプリに欲しい商品のクーポンが出ていた。